特定責任追及等の訴えにつき訴訟告知の公告

93_2 特定責任追及等の訴えにつき訴訟告知の公告(株主等通知公告)の記載例


多重代表訴訟について

改正会社法で導入される多重代表訴訟は、親会社の株主が、子会社に対してその取締役等の責任を追及する訴えを提起することを請求することができるというものです。
 これは、株主にとってはありがたい改正である一方、会社側からすると濫訴のおそれもあります。そのため、「多重代表訴訟」利用できる株主には通常の株主代表訴訟に加えていくつかの要件が追加されています。
(1)株主の要件
 ①グループが大きくなると、子会社だけでなく孫会社などもありますが、多重代表訴訟を利用することができるのは、最終親会社(一番上位の親会社)の株主のみです。
 ②総株主の議決権の 100 分の 1 以上の議決権又は発行済株式(自己株式を除く)の 100 分の 1 以上の数の株式を保有している必要があります(公開会社において6か月要件は通常の株主代表訴訟と同様)。
(2)対象会社の要件
 ①多重代表訴訟を利用できる対象会社は、100%子会社(孫会社)に限られます。
 ②対象子会社(孫会社)の株式の帳簿価額が、最終親会社の総資産の5分の1超であること。


・関連する法律条文
会社法
(平成十七年七月二十六日法律第八十六号)


第七編 雑則
第二章 訴訟
第二節 株式会社における責任追及等の訴え(第八百四十七条―第八百五十三条)


第八百四十九条 (訴訟参加)
 株主等又は株式会社等は、共同訴訟人として、又は当事者の一方を補助するため、責任追及等の訴え(適格旧株主にあっては第八百四十七条の二第一項各号に掲げる行為の効力が生じた時までにその原因となった事実が生じた責任又は義務に係るものに限り、最終完全親会社等の株主にあっては特定責任追及の訴えに限る。)に係る訴訟に参加することができる。ただし、不当に訴訟手続を遅延させることとなるとき、又は裁判所に対し過大な事務負担を及ぼすこととなるときは、この限りでない。
2  次の各号に掲げる者は、株式会社等の株主でない場合であっても、当事者の一方を補助するため、当該各号に定める者が提起した責任追及等の訴えに係る訴訟に参加することができる。ただし、前項ただし書に規定するときは、この限りでない。
 一  株式交換等完全親会社(第八百四十七条の二第一項各号に定める場合又は同条第三項第一号(同条第四項及び第五項において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)若しくは第二号(同条第四項及び第五項において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)に掲げる場合における株式交換等完全子会社の完全親会社(同条第一項各号に掲げる行為又は同条第三項第一号の株式交換若しくは株式移転若しくは同項第二号の合併の効力が生じた時においてその完全親会社があるものを除く。)であって、当該完全親会社の株式交換若しくは株式移転又は当該完全親会社が合併により消滅する会社となる合併によりその完全親会社となった株式会社がないものをいう。以下この条において同じ。) 適格旧株主
 二  最終完全親会社等 当該最終完全親会社等の株主
3  株式会社等、株式交換等完全親会社又は最終完全親会社等が、当該株式会社等、当該株式交換等完全親会社の株式交換等完全子会社又は当該最終完全親会社等の完全子会社等である株式会社の取締役(監査等委員及び監査委員を除く。)、執行役及び清算人並びにこれらの者であった者を補助するため、責任追及等の訴えに係る訴訟に参加するには、次の各号に掲げる株式会社の区分に応じ、当該各号に定める者の同意を得なければならない。
 一  監査役設置会社 監査役(監査役が二人以上ある場合にあっては、各監査役)
 二  監査等委員会設置会社 各監査等委員
 三  指名委員会等設置会社 各監査委員
 4  株主等は、責任追及等の訴えを提起したときは、遅滞なく、当該株式会社等に対し、訴訟告知をしなければならない。
 5  株式会社等は、責任追及等の訴えを提起したとき、又は前項の訴訟告知を受けたときは、遅滞なく、その旨を公告し、又は株主に通知しなければならない。
 6  株式会社等に株式交換等完全親会社がある場合であって、前項の責任追及等の訴え又は訴訟告知が第八百四十七条の二第一項各号に掲げる行為の効力が生じた時までにその原因となった事実が生じた責任又は義務に係るものであるときは、当該株式会社等は、前項の規定による公告又は通知のほか、当該株式交換等完全親会社に対し、遅滞なく、当該責任追及等の訴えを提起し、又は当該訴訟告知を受けた旨を通知しなければならない。
 7  株式会社等に最終完全親会社等がある場合であって、第五項の責任追及等の訴え又は訴訟告知が特定責任に係るものであるときは、当該株式会社等は、同項の規定による公告又は通知のほか、当該最終完全親会社等に対し、遅滞なく、当該責任追及等の訴えを提起し、又は当該訴訟告知を受けた旨を通知しなければならない。
 8  第六項の株式交換等完全親会社が株式交換等完全子会社の発行済株式の全部を有する場合における同項の規定及び前項の最終完全親会社等が株式会社の発行済株式の全部を有する場合における同項の規定の適用については、これらの規定中「のほか」とあるのは、「に代えて」とする。
 9  公開会社でない株式会社等における第五項から第七項までの規定の適用については、第五項中「公告し、又は株主に通知し」とあるのは「株主に通知し」と、第六項及び第七項中「公告又は通知」とあるのは「通知」とする。
 10  次の各号に掲げる場合には、当該各号に規定する株式会社は、遅滞なく、その旨を公告し、又は当該各号に定める者に通知しなければならない。
 一  株式交換等完全親会社が第六項の規定による通知を受けた場合 適格旧株主
 二  最終完全親会社等が第七項の規定による通知を受けた場合 当該最終完全親会社等の株主
11  前項各号に規定する株式会社が公開会社でない場合における同項の規定の適用については、同項中「公告し、又は当該各号に定める者に通知し」とあるのは、「当該各号に定める者に通知し」とする。


特定責任追及等の訴えにつき訴訟告知の公告 (ひな型)

当社「注1」 である株式会社○○○(住所、東
京都××区××町×丁目××番××号)より、同
取締役○○○○○ を被告とする損害賠償事件に
つき、原告である株主○○○○○氏から訴訟告知
を受けた旨の通知があったので、会社法第八百四
十九条第十項の規定により公告します。
 平成○○年○○月○○日            ※1
  ○○県○○○市○○町○丁目○○番○○号
                 ○○○○株式会社
              代表取締役 ○○ ○○


「注1」には、
「の株式交換等完全子会社」 あるいは
「が最終完全親会社等」 のいずれかが入る


文案の「取締役○○○○○」 の部分は、
「発起人」 「設立時取締役」 「設立時監査役」 「会計参与」
「監査役」 「執行役」 「会計監査人」 「清算人」
等となる場合がある。


※1 掲載日は、原稿をいただいた後、掲載可能な日をご連絡いたします。
・掲載希望日がある場合はご連絡ください。
・( 官報公告掲載までに必要な日数 )をご覧下さい。
・( 官報公告掲載料金表 )をご覧下さい。


【注】本公告は定款所定の公告方法によらなければならない。

定款に定められた場所以外で公告しても無効となります。

定款に定めがない場合の公告方法は「官報」とされます(会社法939条4項)


公告原稿を作成する場合は、原稿作成の手引き を参照しながら、
記入用ひな型をダウンロードして必要事項をご記入ください。


また、「官報公告等掲載申込書」をダウンロードして必要事項をご記入ください。

公告掲載のお申込みの前に、官報公告お申込み手順 をご覧ください。